
長崎・波佐見町を拠点に、創業80年を迎える西海陶器株式会社。
伝統と革新を融合した波佐見焼を全国・海外に広め、暮らしに寄り添う器ブランドとして発信を続けています。
産地を牽引し、器の商社にとどまらない西海陶器の魅力に迫ります。
産地とともに歩み、波佐見焼をブランドへ

長崎県・波佐見町を拠点に、400年以上の歴史をもつ波佐見焼。その魅力を現代の暮らしへとつなぎ、国内外へ発信し続けているのが、西海陶器株式会社です。
創業80年を迎える西海陶器は、単なる陶磁器商社の枠を超え、「産地の価値をブランドとして育てる」存在として、波佐見焼の発展を牽引してきました。
西海陶器の原点は、創業者である児玉氏がリヤカー一台で陶磁器の行商を始めたことにあります。
社名の由来となった「西海橋」には、
人とモノ、人と暮らしを結ぶ“架け橋”でありたい
という想いが込められているとのこと。
この理念は現在も受け継がれ、ものづくりとブランディングの根幹となっているそうです。

今でこそ波佐見焼は全国的にも有名ですが、かつて波佐見焼は、有田焼の下請けとして生産されるケースも多く、産地名が表に出にくい時代もあったそうです。
その中で西海陶器は、
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波佐見焼としての独自性の確立
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オリジナルブランドの開発
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デザイン性・機能性の向上
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価格と品質の最適化
に取り組み、「波佐見」という名前で選ばれる器づくりを推進してきました。
その結果として、波佐見焼は“日常使いの上質な器”として全国に浸透し、ひとつのブランド産地として確立されていったそうです。

現在では、日本各地のみならず、アメリカ、中国、ヨーロッパへと海外の拠点地を広めていらっしゃるとのこと。
伝統技術を大切にしながら、現代の暮らしに寄り添うデザインと機能性を追求し、波佐見焼を「日常の器」として磨き上げ、全国・海外へと届けているそうです。
西海陶器から発信する「Hasami Life」と産地の魅力づくり

西海陶器は、器づくりにとどまらず、産地の魅力を伝える発信にも力を注がれてきました。
その象徴が、同社を中心に展開されている「Hasami Life」。
Hasami Lifeは、窯元やギャラリー、ショップ、飲食店などと連携し、波佐見の暮らしや文化、ものづくりを体験型で発信、販売も行うWEBメディアです。
町全体をショールームのように捉え、器の背景にある物語や作り手の想いを伝えることで、産地そのもののブランド価値を高めることに貢献されているそうです。
西海陶器は、こうした取り組みを通じて、地域とともに波佐見焼の魅力を編集・発信する役割も担っています。

また、体験を通じて地域の魅力を伝える「クラフトツーリズム」にも力を入れ、街全体の価値を上げる取り組みも先導されています。
その中で誕生したのが、廃業した窯元を買い取り、建設された「西の原」です。
古い建物の佇まいを活かしながら手を加え、若手の作家やアーティストが活動できる場所として、また波佐見町の人気観光スポットとしても注目を集めています。
未来を見据えた器づくり

西海陶器では、商社として産地の器を扱うだけなく、自社ブランドとしても産地を牽引しています。
2025年のテーブルウェアフェスティバルで発表した、「agasuke 銀彩」は、波佐見焼の未来を見据えた新作。プロのテーブルコーディネーターからも注目の器として取り上げられております。→⭐︎
波佐見焼はその名が全国区になって以来、「カジュアルリッチな器」というイメージが定着しつつありますが、これからはその先を見据え、上質で美しく、より暮らしを豊かにする器ブランドを目指しているとのこと。
西海陶器がそれを先導するべく、今回の新作の開発につながったそうです。

白磁の美しさはもちろん、一点ずつ手作業で塗られた本銀が光を受け、器の魅力をさらに高めています。
銀彩は時間の経過とともに、徐々に色味を変えていくので、磨いて輝きを取り戻したり、時間の経過を楽しんだり、長く使って育てる器としての魅力も特徴です。

FSPJでは、大手住宅メーカーの顧客向けに開催された「食空間のインテリア&テーブルコーディネートセミナー」にて、この「agasuke 銀彩」シリーズを使ったテーブルコーディネートを展示させていただきました。
華やかな銀彩の器と満開の桜で春の門出を祝う、そのようなシーンが思い浮かぶように、シンプルながら器の美しさが引き立つコーディネートには、来場者の皆様からも注目が集まりました。
プレートからサラダボウル、酒器まで様々なラインナップで、特別な日はもちろん、日常のテーブルにも豊かさをプラスしてくれることでしょう。
西海陶器では、今年5月1日に創業80年を迎えるにあたり、より自社での配信に力を入れた取り組みとして、noteでの配信もスタートされました。
様々な取り組みや働く「人」にもフォーカスされ、波佐見焼を牽引するの魅力が紹介されております。
今後も産地の持続的な発展にも貢献しながら、伝統を未来へとつなぐブランドとして進化を続けていかれる、西海陶器の「これから」にもぜひ注目いただきければと思います。


FSPJ ACADEMY ディレクター
宮代亮⼦(AKIKO MIYASHIRO)




