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2023.01.10

レトロ建築探訪〜大正から昭和初期の建築を訪ねて①〜

明治、大正、昭和初期に建てられた、西洋の建築様式に影響を受けたレトロ建築は、訪れるとその時代にタイムスリップしたような気持にさせてくれます。

大正から昭和初期に建てられた名建築を、全3回に渡ってご紹介してまいります。

第1回目は、庭園や茶室も楽しめる旧古河邸です。

和と洋の調和~旧古河邸~

旧古河邸は、東京都北区西ヶ原に古河財閥の3代目当主、古河虎之助男爵の邸宅として1917年(大正6)に竣工。
もとは明治時代の外務大臣、陸奥宗光邸跡地だったそうです。

設計は、ニコライ堂や三菱一号館、旧岩崎邸なども手掛けたイギリス人建築家、ジョサイア・コンドルで、コンドルの晩年に建てられました。
建築様式はイギリス貴族の別荘などにも見られるスコテッシュ・バロニアル様式で、カナダのバンフ・スプリングホテルなどにも雰囲気が近い印象。

どっしりとした赤黒い安山岩が積まれた外壁は圧巻でとても温かみがあります。

建物内部は、賓客を迎えた1階が洋風建築、生活の場であった2階が和風建築です。

よく“和洋折衷建築“という、和風建築と洋風建築を外観から折衷した建築様式がありますが、旧古河邸はそれとは違い、2階に上がってはじめて和の建築を目にするようになっていて、洋から和への自然な流れ方が巧みに構成されています。

和室の入口は、禅寺などに見られる華頭窓のようなアーチ型になっているなど、意表を突かれるようなサプライズ感があります。

http://www.otanimuseum.or.jp/kyufurukawatei/images/gallery/g_photo_22.jpg

室内は撮影禁止のため、旧古河邸のホームページにてご覧いただけますが、ぜひ足を運んで実際に体感いただければと思います。

 

和洋の名庭園

建物と同じように「庭園」においても和と洋の調和が見られ、土地の斜面には「西洋庭園」、低地には「日本庭園」が配されています。

西洋庭園の方は、建物と同じコンドルの設計によるもので、階段部分がイタリア式、平地はシンメトリー配置でフランス式庭園の流れをくみ、建物との一体感が見事です。

なんといっても春と秋に咲く美しい薔薇は素晴らしく、彩りや香りの良さとともに、重厚感のある建物が背景になってさらに薔薇の美しさが際立ち、撮影のアングルとしても最高です。

西洋庭園から少し歩くと「日本庭園」があり、建物と同じように「洋から和」へ切り替わりで気分も変えてくれます。

京都の庭師『植治』こと小川治兵衛(おがわじへい)による池泉回遊式庭園。

「心」という文字を表した『心池』の周りには木々が生い茂り、枯山水の道具とされる「枯滝」、水がリアルに流れる大滝、大きな雪見灯篭などが風情を生み出しています。

また、植治の力作といわれる、崩れそうで崩れない京都の石垣工法「崩石積」も見応えがあり、繊細さと荒々しさをあわせもつ「粋」な庭園を演出しています。

園内には茶室もあり、四季折々の美しい庭園を眺めながら季節の干菓子と京都一保堂のお抹茶をいただくことができ、季節を感じながら至福のひとときとなるでしょう。(春と秋の時期のみ利用可)

周辺のレトロ建築

旧古河邸から1㎞ほど歩くと自然豊かな飛鳥山が見えてきます。その敷地内に日本資本主義の父・渋沢栄一ゆかりの貴重な2つの建物が現存しています。

 一つは『晩香廬(ばんこうろ)』。

渋沢栄一が77歳(喜寿)を迎えたときに清水組(現・清水建設)から贈られたという洋風茶室で、設計はイギリスのアーツアンドクラフツ運動から影響を受けた建築家・田辺淳吉によるもの。

木材は建物から家具~工芸品まで、耐久性・耐水性に優れた栗材を使用されており、赤い瓦とベージュの錆壁、栗の濃茶色が落ち着きのある風情です。

もう一つは『青淵文庫(せいえんぶんこ)』。

栄一が80歳(傘寿)と子爵に昇格したお祝いということで、竜門社(渋沢栄一記念財団)から贈られた建物で、大河ドラマでも登場した「論語」「徳川慶喜公伝記資料」などの保存のための書庫でした。

この建物の主役は、1窓にガラスピースが約1000もあるステンドグラスです。

渋沢家の家紋「丸に違い柏」にちなんで柏の葉・祝いの壽(ことぶき)がデザインされ、周りの陶器製のタイルも見ものです。その他、最も美しい空間と称された「階段」も注目されるとよいでしょう。

 

旧古河邸(大谷美術館)
http://www.otanimuseum.or.jp/kyufurukawatei/information.html
http://otanimuseum.blogspot.com/

 

晩香廬/青淵文庫

https://www.shibusawa.or.jp/museum/public-calendar/index.html

 

次回は、「学士会館」をご紹介いたします。

コラム担当

FSPJ認定コーディネーター
田中 宏美(HIROMI TANAKA)

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