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2023.08.07

魚沼で感じる自然と建築の融合〜魚沼の里〜

雪国 魚沼の豊かな自然や魅力を五感で味わえる『魚沼の里』。
全国的に愛される日本酒の酒蔵として有名な八海醸造が手掛け、四季を通じて多くの人が訪れるスポットです。
『魚沼の里』には、日本酒の蔵や研究棟の他、訪れた方々が楽しんでいただけるよう様々な施設が点在しています。
今回は、皆さまに日本酒やブームとなった甘酒だけでない八海醸造の魅力、まだ訪れたことのない方が足を運びたくなる魚沼の里をご紹介致します。

魚沼の里が生まれたきっかけ

霊峰八海山の麓、新潟県南魚沼市⻑森の一角にある魚沼の里。

上越新幹線の通るJR浦佐駅から田園風景を眺めながら、車で15分くらいでその姿は現れます。

自然と調和した建物の美しさと共に、歩いてめぐると出会う四季折々の木々や草花に目を奪われてしまいます。

魚沼と聞くと、多くの人がコシヒカリをイメージするかと思います。その美味しいお米は、この地に流れる清冽な水があるからこそ。
冬は数メートルもの雪に覆われるが、その豊富な雪が清冽な水を生み、大地を潤し、日本一の魚沼産コシヒカリをはじめ、
淡麗な日本酒や雪国独特の食文化を育んできました。
雪の多い魚沼地方は空気が澄み、口当たりの柔らかな水が豊富で、酒造りには適した土地となっており、
日本酒の「八海山」は、美しい南魚沼の自然の恵みを受けて成り立っているのです。

魚沼の里全体(イラスト)

八海醸造は、大正11年に南魚沼市⻑森、この地で現社⻑の祖父 南雲浩一によって創業されました。

現在に至るまで、創業当時の想いは伝えられ、「とにかくいい酒を」という言葉を胸に、品質を徹底的に見極めて、素材・
手間・設備など惜しみない努力を注いだ酒造りをされてるそうです。
酒としての旨みは十分にありながら、食事を邪魔せず、いつまでも飲み飽きない酒。
それが、八海醸造が目指す日本酒なのだそうです。
八海醸造 第二浩和蔵

そして、日本酒つくりへの情熱と共に大切にしてきたもの。それが、この魚沼地域への想いです。
魚沼の里に2004年に建てられた八海醸造の「第二浩和蔵」は、コンクリート打ちっぱなしの外観はとても美しいフォルムで、当時、訪れた人々からこれは何の建物なのだろうを注目を浴びたそうです。
しかし、そこは一般の方が見学できない蔵であったため、来てくださった方々に申し訳ない、少しでも楽しんでもらえる場所があればと思い、飲食店を作ろうという話になったのだそうです。

雪国の先人たちの知恵「八海山雪室」

魚沼の暮らしや雪国の文化の一つに、雪室があります。
古くから、豪雪地帯である南魚沼の地域の人々は食物の保存などに雪室を利用していました。つまり、雪室は天然の冷蔵庫。
現在、一般的に使用されている電気冷蔵庫と比べると、温度の変化が少なく、年間を通じて低温での貯蔵ができるという利点が雪室にはあります。八海山ではこの雪室を利用した酒も作っています。

また、この「八海山雪室」は、周囲の自然にも溶け込むモダンなデザインや設計のコンセプトから、数々の建築賞を受賞されているとのことです。

 

ちょうど訪れた6月中旬は、外は梅雨入りしたこともありジメ ジメとした暑さでしたが、一歩中へ入ると半袖では寒さを感じるほどの空間。 壁に表示された温度計は5度と冬の気温と変わりがありません。

雪室の中には、日本酒を熟成貯蔵させる大型のタンクが立ち並び、出荷前の日本酒の貯蔵のほか、人参やじゃがいもなどの根菜類などが保管されておりました。
酒は、雪室で貯蔵することで、よりマイルドな味わいになり、根菜類などの野菜も保存できるだけでなく、 旨味が増すのだそうです。

八海山雪室

一般のお客様にも開放されており、1日10回体感ツアーが開催されていますので、魚沼の里に出かけられた際には、ぜひお立ち寄りになられてみてください。ツアーは、当日のお申し込みだそうなので、魚沼の里へ着いたら、まず初めにご予約を取られることをお勧めします。

焼酎貯蔵庫で熟成を体感する

雪室を出るとそこには圧巻のオーク樽がずらり。焼酎貯蔵庫の景色です。
日本酒醸造の技術を活かして⻩麹三段仕込みの本格米焼酎 「風媒花」を熟成させていて、独特の芳しい香りとの調和を楽しめる焼酎との事。そして、樽の反対側に並ぶのはメモリアル焼酎の「面向未来」です。専用棚で最長5年間貯蔵し 購入者の指定の年月に手元に届ける特別な焼酎となっているそうです。

この場所には、バーカウンターが併設されており、雪室で3年間熟成させた日本酒など八海醸造の製品を試飲することも出来ます。先ほど見学させ ていただいた雪室を体感した後の一杯は格別。
八海醸造の日本酒に、焼酎、みりんなど、カウンター越しで実際にお話を聞きながら商品をゆっくりと選ぶこともできるのは嬉しいですよね。
この日も実際にお客様がその場で味わいながら選ばれて楽しんでいらっしゃる姿が印象的でした。

次回は、魚沼の里で楽しめる食空間を中心にご紹介いたします。

魚沼の里
コラム担当

FSPJ認定コーディネーター
品田 茉莉(MARI SHINADA)

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