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2023.07.03

広島G7サミットにて平和への祈りを発信〜おりづるタワー〜

1945年8月6日に原爆が投下された、広島。
過去から現在、そして未来へと平和への祈りや願いが、毎年日本国内や世界中から集まります。

78年後の2023年5月19日〜23日、世界の首脳たちが集まる広島G7サミットが開催されました。
今回は、サミットでも話題となったおりづるタワーに注目し、人々の想いで作るアートや平和への願いが込められた空間をご紹介します。

歩きながら楽しめるウォールアート

おりづるタワーは、「復興と未来」をテーマに、明るい夢や希望を世界に発信することを願う施設として、カフェや物産館、展望台、オフィスなどが入る複合商業施設で、2016年に竣工されました。

世界遺産の原爆ドームの東隣に位置しており、広島サミット開催時は、総理夫人主催の夕食会やシンポジウムの会場となりました。

G7広島サミット パートナーズ・プログラム 総理夫人主催夕食会

建物内部には、屋上展望台まで歩いて上り下りできる9層の螺旋状スロープ、″散歩坂″があります。

散歩坂の壁には、広島ゆかりのアーティスト9名による、戦後100年への願いを込めたウォールアートが描かれています。(WALL ART PROJECT"2045 NINE HOPES")

「過去を創ってきた世代」「現代を作っている世代」「未来を作る世代」各世代のアーティストたちが描いた作品は圧巻。木の階段にも座って鑑賞もできるようになっています。

スパイラル中央部分は、12階から1階まで全長70メートルの螺旋状のすべり台になっており、その名も「くるくーる」。

すべり台として楽しめるだけではなく、非常時の避難用としての機能も兼ね備えているとのことです。

平和への想いや祈りが込められていく〜おりづるの壁〜

「おりづるの壁」 外観(右)、上から見た様子(左)

折り鶴は、昔から長寿、幸福、災害祈願に作られてきましたが、近年では平和のシンボルとして知られています。平和記念公園では、日本国内や世界各国から折り鶴が捧げられ、その数は年間約1千万羽にものぼるようです。

12階の「おりづる広場」には、折り鶴を作るワークショップスペースがあり、多言語で折り鶴の作り方を紹介されています。

日本語は、広島弁で作り方を紹介をされている点も特徴の一つ。作った折り鶴は、高さ約50mあるガラス張りの「おりづるの壁」に投入することもできます。

現在、ビルの6階部分まで集まり、その数、なんと84.4万羽。(2023年7月時点)最大127万羽が壁の中に投入することができるそうです。
集まった折り鶴は、再生紙などに変わって再利用される予定だそうです。

広島の過去と現在を知ることができる場所

展望台からみた原爆ドーム

屋上階には、広島市の様子を一望できる展望台「ひろしまの丘」があり、そこからは、緑と川と原爆ドームや平和記念公園、宮島の弥山(みせん)など、変わりゆく街並みを見ることができます。

また、原爆が投下されたグラウンド・ゼロ(爆心点)の位置やその後の様子も見ることができて、当時を想像すると平和への思いを改めて考えさせられます。

こちらは、広島を基点として、瀬戸内地方を中心に活動している建築家の三分一博志氏が設計。世界遺産宮島の中央部にある弥山(みせん)という山の展望台なども設計しているそうです。

床や天井、柱の化粧には多くの木材が使われており、階段を登った先に広がる木のフレームから見る様子はとても美しく、テイクアウト専用のカフェも常設され、広島の街並みを眺めながら平和への願いを新たにすることができる空間となっております。

また、夜には広島市街の夜景を観ながら、カクテルなどのアルコールを楽しめるルーフトップバーとなるとのこと。

12階では、8月31日までの期間限定イベント、広島G7サミット パートナーズ・プログラムでも披露された「ダンデライオンプロジェクト」が展示されており、アート体験を通して平和の祈りを願う体験が可能となっています。→

ダンデライオンプロジェクト 

1階には、長年知られている商品や国内外で認められた技術をファッションアイテムとして開発された商品を取り扱ったり、多くの魅力あふれる商品に触れたりすることができる物産館「人と樹」があります。

中国地方には日本を代表する「日本六古窯(ろっこよう)」の一つとして栄えてきた、岡山県の備前焼や、島根県の石見焼、山口県の萩焼と並んで、広島には「宮島焼」という焼き物があります。

厳島神社で祈祷された「御砂」を混ぜて作られ、旅人のお守りとして旅に持って行かれ、旅先の砂を加えて倍にして返す風習があり、その後、厳島神社で祭礼用に祭器が作られるようになっていったそうです。

この他、黒茶玉虫色が特徴の銅姦(どうちゅう)があります。今から300年前に銅板を鍛えて、火鉢、やかん、花瓶を作り、広島藩の特産品として、諸大名に寄贈されていたと伝えられています。

宮島焼や銅板細工のディスプレイ

また、今回のG7広島サミットでG7の各国首脳や配偶者にお土産として渡された、万年筆やビーズのブローチも紹介されていたり、熊野筆や宮島しゃもじなどの伝統工芸品も展示・販売されております。

平和への願いの思いと再認識すると共に、まだ見知らぬ広島を発見ができる場所として、ぜひ足を運んでいただければと思います。

 

おりづるタワー https://www.orizurutower.jp/

コラム担当

FSPJ認定コーディネーター
三浦 真衣子

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