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2025.06.30

インテリア・デザインのための国際見本市「インテリアライフスタイル2025」

デザイン性に優れた衣・食・住の製品を取り扱う国内外のブランドが一堂に集結する「インテリア ライフスタイル」(メッセフランクフルト ジャパン株式会社 主催)が、東京ビッグサイトにて開催されました。

18カ国・地域から483社(国内:393社/海外:90社)が出展し、15,000人以上が来場した注目のイベントで見つけた、気になる食空間ブランド/アイテムをご紹介します。

パートナー企業が取り組む、環境に配慮した新しい試み ~我戸幹男商店 / 廣田硝子~

FSPJ ACADEMYパートナー企業、我戸幹男商店様、廣田硝子様が出展されておりましたのでご紹介します。

 

木地職人が新たに提案する「スツール」 ~我戸幹男商店~

挽物の技術で有名な山中漆器 我戸幹男商店 様では、その製造工程で大量の廃木粉が出てしまう点を以前より問題視されていました。実際に、画像にある木片からは通常10個前後のお椀が取れるそうですが、その9割近くが廃木粉として廃棄されてきたそうです。

 

今回の出展では、同社で初めてのインテリア商材としてスツールを発表されていましたが、同じ木片から一つのスツールを作り上げる工程では、お椀を削り出す際と比べて、各段に廃棄となる木粉の量が削減できるということです。そのスタイリッシュなフォルムやデザイン性はもとより、限られた資材を有効活用する一つの提案としての新しい取り組みは、大変興味深いものがあります。

また、以前の記事でご紹介した、廃木粉から作られた新素材「MIRAIWOOD®︎」を使った新しいデザインのお椀「MW-Z」シリーズも展示されており、廃棄される材料を減らすという観点と、廃棄されたものを再利用するという両軸で、環境に配慮した商品開発を継続されています。

 

 

ガラスの端材をアップサイクルさせたアクセサリー ~廣田硝子~

東京で最も歴史のある硝子メーカーの一つである廣田硝子様のブースでは、長年の課題として挙がっていた、製造工程でどうしても発生してしまうガラスの端材を使ったリサイクルガラスアクセサリー「白雫 -hakuRe-」を中心に展示されていました。

 

2021年にスタートしたというリサイクルガラスの研究から製品化された「白雫」には、「ただものをつくるだけでなく、新しいチャレンジを続ける会社でありたい」という廣田硝子様の想いが詰まっており、色鮮やかでありながら主張しすぎない美しいデザインのアクセサリーを通じて、ガラスの新たな価値と魅力を提示してくれているようです。

白雫は今秋以降、直営のすみだ和ガラス館でもご購入いただけるようになるそうですので、ぜひ手に取ってご覧になってください。

インゲヤード・ローマン氏デザイン、使ってこそ輝くグラスウェア ~木村硝子店~

デザイナー、インゲヤード・ローマン氏

木村硝子店様のブースでは、スウェーデンを代表する硝子・陶器デザイナー、インゲヤード・ローマン氏がデザインするグラスウェアのシリーズが展示されており、ローマン氏に直接インタビューさせていただくことができました。

 

食べることと飲むことが大好きで、自身もよくおもてなしをするというローマン氏は、機能性を供えながらも「食事をする空間をさらに美しくする」という観点を大切にデザインをされているそうです。

インタビューの中で印象的だったのが、「展示されているグラスは、まだその人生を謳歌していない」という言葉でした。

彼女のデザインするグラスウェアは、テーブルセッティングしたときに、それだけでも素敵に見えるように作られているということですが、その真価は実際に使われてこそ分かるものであり、飲み物を入れたり料理を置くことで見え方が変わり、さらに美しくなるということです。

 

実際に、ローマン氏のデザインするグラスウェアは、カッティングやサンドブラスト加工があるくらいで、過度な装飾はありません。シンプルながらも存在感のあるデザインを前にすると、「何を飲もう」「どんな料理を盛りつけよう」といった想像力が掻き立てられます。

ローマン氏がデザインするグラスウェアは、全てにおいて具体的な使い方をイメージしてデザインされるそうです。そのうえで「ユーザーが好きに使ってくれていい」という自由な発想をもっているのも、彼女のデザインするグラスウェアの魅力だと感じます。

手に持ったときのバランスや持ちやすさ、口当たりなど、細部まで丁寧にデザインされているという制作へのこだわりも伺うことができ、使われてこそ本当の魅力を発揮する、と言った言葉の意味を実感することができました。

職人とお客様をつなぐ「生涯を添い遂げるマグ」 ~Wired Beans~

Wired Beans様は、日本全国にいる職人と連携しながらモノづくりをするD2Cブランドです。安価な大量生産品を気軽に手に入れられる現代だからこそ、日本が誇る職人の技術を守り、本当によいモノの価値を作り手と顧客で共有することができるプロダクトとして、「生涯を添い遂げるマグ」を中心に出展されていました。

 

日常でよく使われるものこそ、良いモノを選び、ずっと長く付き合っていってほしいという想いから、「生涯を添い遂げるマグ」には、何度でも交換ができるという「生涯補償」サービスが提供されています。

職人が手作りする器は高価なものが多く、割れることが不安で普段使いを躊躇してしまうという利用者の心配の声を解消する素晴らしいサービスであるとともに、職人側にとっても継続的な仕事の場が提供され、技術を次代へ繋げる機会を創出するというメリットがあるのだそうです。

まさに、職人とお客様がマグを通して繋がることで、共にWINになる関係を築いているのがWired Beans様と言えます。

生涯を添い遂げるマグの面白い点は、Wired Beans様が提供するシンプルで実用性のある共通の形状のマグを、全国の異なる窯元・職人がそれぞれの特色を生かした色柄・質感で作りあげているというところです。個性的なそれぞれの産地のマグですが、形状が共通なため、どのデザインを組み合わせてもしっくりくるのが魅力。例えば、ひとりひとりが好きなデザインを選んで、自分のお気に入りマグを家族分揃えるというのも楽しそうですね。

 

ブランドサイトには、どんな人が、どんな想いで作っているのかを紹介した職人のインタビュー記事も掲載されており、現在は3名の職人のストーリーや想いがつづられています。今後記事も増えていくということですので、ぜひそちらも読んでみてください。

「晟土(せいど)」で作られた次世代の器 ~精成舎~

佐賀県嬉野市で展開される肥前吉田焼224porcelainから生まれた新しいブランド「精成舎」は、地球の環境を守り、持続可能な生活を生み出すために研究された新しい土「晟土(せいど)」で作られた商品ラインナップを出展されていました。

 

晟土は焼成時に排出する二酸化炭素を約40%削減することができ、かつ製造工程でどうしても出てしまう不良品を限りなく少なくすることができるという新素材です。一般の磁器に比べて1.5倍の強度をもつというメリットもあり、まさに次世代のスタンダードとして世界に広まり、受け入れられることを目指している土なのだそうです。

人気のあるシリーズを伺ったところ、こちらの「うづら」シリーズを紹介いただきました。

丸みを帯びたどこかかわいらしい形状に、釉薬を用いないマットな質感、何にでも合わせやすいベーシックカラーのオーバルプレートやボウル、マグといった商品ラインナップは、日常の器として誰でも使いやすいように展開されています。

白とグレーの2色展開ですが、両色を混ぜて使ってもおしゃれな食卓になりそうですね。

担当コーディネーター

食空間プロデューサー/ FSPJスクール銀座校講師
伊藤 裕美子(YUMIKO ITO)

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