RIVIERA (リビエラ)は、海外の磁器タイル・天然御影石・大理石といった建材を扱い、特にイタリアタイルに注力している建材商社です。
東京ショールームは、デザイン性に富んだイタリアタイルや石材を中心に展示、創造力を刺激される空間となっております。
タイルを探す旅の始まりの場所
迎賓館、高級ホテルやオフィスが立ち並ぶ赤坂見附。
リビエラの東京ショールームは2018年に新宿から移転オープンしました。
今回、こちらのショールームにて、経営企画部部長の阿部泰久氏にお話しを伺いました。
コンセプトは「リゾートホテルのような、いつでも来たくなるタイルを探す旅の始まりの場所」。
タイルの知識を得る場所としてはもちろん、来場者のくつろぎのスペースを目指しているそうです。
スタイリッシュなレセプションの先にはラグジュアリーな空間が広がります。
エントランスホールで引き付けられるのは、タイル・ツリーという木を模したオブジェ。
四角いタイルをウォータージェット(水圧を使ったタイルの加工方法)で、円くカットし樹脂で固め、「浮遊感」を表現しています。
ショールームには、キッチンバーカウンター、ラウンジ、サニタリーコーナーのシーンが作られており、タイルで空間を演出する楽しさを見ることができます。
そこからヒントを得たり、タイルバンクコーナー(後述)では、実寸大の豊富なサンプルを見たり触ったりして、好みのものを探せるという仕掛けになっているそうです。
タイルバンクコーナーには実寸大の大判タイルから30cm角タイルまでがずらりと並び、圧巻のラインナップが揃っています。
引き出しの中にはモザイクタイルが納められて、一つずつ開けていくのはわくわくします。
60cm角の大理石調タイルは、マットから半磨き、すべっとする水磨き、フルポリッシュの鏡面仕上げなど、磨きの違いで表情が変わります。
インクジェットの精度向上やデザイナーの努力によるテクスチャの再現性には驚くばかりです。
石目調はオーソドックスで人気があり柔らかいイメージです。また、素地に粒を入れ、表面だけでなく切り口サイドにもストーンのテクスチャを再現したという細やかなデザインもあります。
鉄板調は、アースカラーから鮮やかな青や緑があり人気。様々な空間にフィットし、デザイナーもイメージが広がりそうです。
実は、ここには秀逸な仕掛けがあり、一枚一枚引き出して見ることができたり、照明の色温度を調整しながら実際の室内外の見え方を確認することでことができます。
同じ白でもオレンジ色っぽいものや青白っぽいものなどがあり、特に外床の場合は色温度を高めにして確認することがコツだとか。
多くの選択肢から選ぶには、現場資料を用意し用途で相談すると的確なアドバイスが頂けるそうです。
リビエラには、イメージの違いで二つのブランドがあり、選ぶときにわかりやすくなっています。
社名と同じ【RIVIERA(リビエラ)】ブランドは、「普遍性」がテーマ。
元々は住宅向けに30㎝角の外用タイルを集めたもので、長く愛着を持って使えるものが揃っています。
もう一つのブランド【TERRA(テラ)】(=イタリア語で‘土’)は「革新性」をテーマとしているそうです。
商業施設向けに立ち上げられましたが、もちろん、ハイエンドの住宅向けにも人気です。
60cm角以上の大判で、デザイン的に特徴のあるものを多様に取り揃えられています。
それぞれのカタログは美術書の用に美しく、【リビエラ】は用途別、【テラ】はデザイナーが感性で選べるようにテイスト別で編集され、事例を解説したコラムも楽しく読めます。
世界のタイルの潮流
ファッションや家具と同様、タイルにも「トレンド」があり、見本市が開かれます。
世界最大のタイル見本市はイタリア・ボローニャで9月に開催される「CERSAIE(チェルサイエ)」です。世界のメーカー各社はここで新作を展示、トレンドが発信されます。
デザイナーはハイムテキスタイルやミラノサローネを見てインテリアの文脈を読み、ファッショントレンドも意識したデザインを出してきます。
今年はコロナで日本からの参加者はなく、リビエラもリモートでの参加でした。新しいことが発表されたというよりもここ数年を見直すような流れだったそうです。
ここ10年の流れとしては、まずは製造技術の進化による「大判化」で大柄を見せるものがキッチンの面材として使われたり、床・壁以外で使うことが加速しているとのこと。
ショールームでは、入口のバーカウンタートップなどで見ることができます。
「意匠性の高いタイルをワンポイントとして使う」のも注目されており、ファッションと連動した、エスニック調の楽しい柄も人気なのだそうです。
下にあげたものは、世界的なファッションアイコンのアイリス・アプフェル(Iris Apfel)がデザイン監修をした「アイコン」。ファブリックやジュエリーからインスピレーションを得、ポップでカラフル、メタリックなタッチで表現されています。
配色の違いで印象ががらっと変わりますが、9枚1セットの中でタイルの並べ方は好みでカスタマイズでき、ショールームで遊びながら選ぶのも楽しそうです。
素材的なテイストとしては代表的なものは3つ。
メインになっているのは「石目調」、その中でも「大理石の磨き」や「ライムストーン調」など総合して天然石をデザインしたものといえます。
他には「長尺の木目調」、「モルタル調(セメント)」があり、どれもはっきりとしたテクスチャが特徴です。
また、近頃再燃している「北欧インテリア」に合うタイルは?と伺うと、上記で紹介したナチュラルな木目調の他、焼物系の釉薬を塗ったものや土の質感が出ている無釉のタイルなどとのことでした。
2022年はタイル名称統一100周年
「タイル」という名称が日本で制定されて今年4月で100年を迎えます。
大正期までは現在一般的に使われている「タイル」という言葉はなく、化粧煉瓦・陶板など様々に呼ばれており、それが一般に広がらなかった理由にもなっていました。
1922年、大正デモクラシーの中で開催された平和記念万博博覧会の全国タイル業者大会に於て、「タイル」という名称に統一されました。
「タイル」の語源は、ラテン語の「テグラ tegula」で物(=建築)を覆うものという意味です。
今年は美術館系の企画をリビエラでも進行中とのこと。機会があればぜひ見に行ってはいかがでしょうか。
ショールーム奥の壁には、見事な龍のタイル絵が飾られています。
100周年を企画した多治見のメーカーの共作で、オールメイドインジャパンで精緻な特注タイルも貼られています。
コロナ禍でご自宅に関心が高まっている今、手短な小物揃えから始まり、カーテン・家具・リフォームに展開するケースも多いようです。
建材の力は大きく、空間のグレードが各段に上がります。
阿部氏の言葉で印象的だったのは、「タイルの機能的特徴は寿命が長いこと。一度貼ったら建物は守られるし、空間に合うものを選べば長く愛着を持つことができます。それだからこそ、選ぶのが楽しくなる。」
インクジェットの革新的な技術も沢山解説して頂き、タイルはまだまだ可能性があることを実感しました。
FSPJ認定コーディネーター
白川 えり子(ERIKO SHIRAKAWA)