ヨーロッパ食空間探訪① 〜ウィーンとスイスの暮らしから〜

食空間とは、その土地の文化や暮らしを五感で感じ、その価値を未来へ継承していく「空間文化」そのものだと、FSPJでは考えています。
この連載では、ウィーン・スイスで暮らすコーディネーターの現地での視点をもとに、FSPJ代表 慈道によるヨーロッパ視察もきっかけに、FSPJならではの観点からヨーロッパの食空間を読み解いていきます。
ヨーロッパ食空間探訪の第一回では、そのはじまりとして、FSPJが考える「食空間」と、この連載でお届けしたいことをご紹介します。
はじめに
① FSPJが考える「食空間」とは

テーブルコーディネートは、ヨーロッパの豊かな歴史や文化、人々の暮らしの中で育まれ、時代とともに発展してきました。格式ある宮殿文化から、街角のカフェ、ホテルやレストラン、そして家庭の食卓まで、その土地ならではの価値観やライフスタイルが食空間には息づいています。
食空間をプロデュースするうえで本当に大切なのは、単にテーブルを美しく整える技術だけではありません。街並みや建築、工芸、食文化、自然環境、そして人々がどのように季節を楽しみ、誰とどのような時間を過ごしているのか。その一つひとつの要素がストーリーとしてつながり、人々のライフスタイルを形づくっています。食空間とは、その土地の文化や価値観を五感で体感し、未来へ継承していく「空間文化」そのものなのです。
②ヨーロッパ視察で見えてきたこと
今回の「FSPJヨーロッパ食空間視察」では、そのルーツとなる美意識や思想に触れるとともに、日本の食文化やものづくり、四季の感性、おもてなしの精神といった、日本ならではの豊かさをどのように未来へ伝え、表現していくべきかを改めて考える機会となりました。
日本の文化や美意識が注目される今、私たちに求められているのは、海外のスタイルを模倣することではありません。日本の四季、和食、器、工芸、おもてなしの精神、そして地域に根差した風景や文化を未来へつなぎ、新たなライフスタイルとして世界へ発信していくことだと考えています。
食空間プロジェクトは創業以来、「日常を楽しむテーブルコーディネート」を提唱し、現在は「食空間を文化から産業へ」を企業理念として活動しています。
食空間を単なる演出ではなく、人・地域・企業・文化をつなぐ価値創造のプラットフォームと捉え、その可能性を広げる取り組みを続けています。
本連載では、ヨーロッパで得た学びを原点に、日本だからこそ表現できる食空間の価値と可能性を皆様と共有しながら、これからのライフスタイル、そして未来の食空間文化について、ともに考えていきたいと思います。
ウィーンとスイスを舞台に
本連載では、ウィーンとスイスを舞台に現地で暮らすFSPJメンバーが感じている日常の視点を交えながら、ヨーロッパの食空間をご紹介していきます。
それぞれ異なる文化や歴史を持ちながらも、日々の暮らしの中には、食空間を豊かにするさまざまな工夫が息づいています。
カフェ文化やホテル、マーケット、テーブルウェア、季節の過ごし方など、一つのテーマを切り口に、その背景にあるライフスタイルや価値観を、FSPJならではの視点で紐解いていきます。
観光ガイドでは出会えない、現地で暮らしているからこそ見えてくる風景や、視察だからこそ気づけた視点もあわせてお届けしていきます。
暮らしを楽しむことから生まれる食空間
テーブルコーディネートというと、「美しく整えること」に意識が向きがちです。
もちろん、格式ある場やおもてなしには、その場にふさわしい美しさや心配りがあります。一方で、今回ヨーロッパで出会った日常の食空間には、もっと自由で、暮らしに寄り添った豊かさがありました。
私たちもこれまで、多くの方が「整えること」に意識を向ける姿を見てきました。だからこそ、この連載では、テーブルコーディネートは特別な日のためだけではなく、毎日の暮らしを楽しみ、自分らしい食空間を育てていくものでもあることを、現地のリアルな風景を通してお伝えしていきたいと思っています。
この連載が、皆様にとって新しい視点との出会いとなり、「自分らしい食空間を楽しむ力」を見つけるきっかけになれば嬉しく思います。

FSPJ認定コーディネーター
後藤 友希(YUKI GOTO)

FSPJ認定コーディネーター
岡崎 清美(Kiyomi)




