食空間における家具は、インテリアのSTYLEを決める大切な存在です。
その中でもチェアは、人体系家具といって、デザインのみならず体へのフィット感も大切なポイントとなります。
使う人にとって快適、かつデザイン性の高い「食空間チェア」の情報についてお話したいと思います。
食空間チェアの種類や特徴
食空間チェアは目的やシーンに合わせて様々な種類があります。
ダイニングチェアは食事以外にも仕事や勉強等に使用されデザインも豊富です。
ソファはアフタヌーンティーなど楽しんだり、ホームパーティなどでも大活躍。
床座で用いる座椅子は、お酒を飲むときなど背もたれがあって楽ですよね。
またキャンプ等で人気のアウトドアチェアは、折りたためて持ち運びが便利、
雨や陽射しに強い素材からできていて丈夫です。
その他生活様式の多様化に伴い、フレキシブルに使用する傾向や商品展開も見られます。
例えば在宅ワーク用のダイニングにも馴染むデザインのオフィス家具や、
食事と寛ぎの両方を兼ね備えたソファダイニングなどがあります。
またアウトドア用を室内でも使うことも人気で、実際に私自身もリビングでディレクターズチェアに腰掛けてTVを観たりしています。
チェアを選ぶポイント
チェアを選ぶ際に参考になるポイントをいくつか挙げたいと思います。
まずデザインはインテリアの雰囲気に合うことは勿論ですが、
永く使うものなのでシンプルなデザインの方が飽きないですね。
また背もたれの高すぎるものは見た目の圧迫感もあります。
サイズはダイニングチェアの場合、アーム付きはアームレスよりも幅が大きくなり、
テーブル下に収納できないケースが多いですが、ゆったりと過ごせるメリットもあります。
また、座面高(SH)はテーブルとの高さバランスが重要となり、
テーブル天板と座面の差(差尺)28~30㎝がベスト寸法です。
例えば70㎝高さのテーブルの場合、座面高(SH)40~42㎝が最適です。
素材は、汚れが気になる場合は「合皮」や「カバーが外せるタイプ」などもいいでしょう。
その他、掃除の時などに持ち運びしやすい重量も要チェック。収納する場合はスタッキングなどもポイントになります。
座り心地は背もたれや座面の角度も関係し、フィット感には個人差があるので実店舗で靴を脱いで試すのが一番です。
ネットで注文する際には、商品のスペックをよく確認し、使用感のコメントや写真など参考にされるとよいでしょう。
代表的なデザイナーズチェア
美しさと機能性を兼ね備え、人気があるデザイナーズチェアをご紹介します。
まず最初は、未来的な作品で人を惹きつけるパリ出身のフィリップ・スタルク。
彼のデザインデータをA.I.が学習し導き出したというその名も『A.I.』。
シート・背もたれをはじめ、ベストポジションの肘掛が身体にフィット。
素材はリサイクルポリエルテル100%で環境も考慮されています(カルテル社)。
次にデンマークで椅子の巨匠と名高いハンス・Jウェグナーの『Yチェア』。
曲木のアームを「Y」文字の背もたれが支え、部屋に置くだけで絵になる魅力的なフォルム。
長い時間腰かけていても疲れにくいのでゆったりと過ごせます(カール・ハンセン&サン社)。
コペンハーゲンで活躍したアルネ・ヤコブセンの『セブンチェア』。
シンプルなフォルムで様々なインテリアに溶け込みやすくスタッキングも可能。
一体化した成形合板の座・背もたれは、身体に馴染みやすいよう適度にしなります(フリッツ・ハンセン社)。
最後にアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの『バレルチェア』をご紹介します。
絶妙な曲線と直線のバランス、磨きあげられた木の美しさなどが相まって
建築の一部としてもオーラを放つ存在。ライト自身のお気に入りで自邸にも12脚あったそうです。
食空間をよりよくするための存在として、チェアのデザインや快適さなどについて、今後意識されてはいかがでしょうか。
そして、あなたのお気に入りチェアをぜひ見つけてください。
FSPJ認定コーディネーター
田中 宏美(HIROMI TANAKA)