食空間業界を牽引するパートナー企業様のトップにFSPJ ACADEMYプロデューサーの慈道がインタビューさせて頂く対談企画。
第二弾は、 100年以上続く老舗の漆器店、「山田平安堂」山田健太社長にインタビューをいたします。
伝統工芸品としての漆器でありながら、山田社長の自由な発想が奏でる様々な漆のあり方について紐解いてまいります。
漆のある空間を体感できる He&Bar(Heiando Bar)
扉を開けると目に飛び込んでくる漆の壁面、赤と黒のみで構成されたモダンな空間。
「山田平安堂」が手がける「He&Bar(Heiando Bar)」は、漆のある空間を体感できる唯一無二のBarです。
5メートルにも渡るバーカウンター、個室を仕切る漆の扉、そして前述の壁面・・・
全て本漆で塗られており、間接照明によって漆の美しさがより際立って見えます。
元々ご実家の内装に漆が使われており、「当たり前のようにあって素敵だと思っていた」漆のある空間を
より多くの方に体感していただくために、こちらのBarをオープンされたのだそうです。
個室の畳には、LEDが仕込まれている、「光る畳」。下からのあかりで、漆がより引き立つように演出されています。
「赤と黒しか使いたくない」というコンセプトは、空気清浄機やダウンライトののバッフル(眩しさを抑える反射板)まで黒く塗るなど、細部にまで拘り抜かれております。
漆器店が営むBarと聞いて、漆器でお酒をいただくことができると
思いきや、お店にあるのはほんの数点。
「漆器だけでお酒を提供したら押し付けになってしまう。あくまでも
空間で漆を楽しんでいただきたい。やぱりグラスで飲む方が美味しい
ですよね」(山田社長)
お店にある漆器とともに、試験的に作られたという、蒔絵が描かれたグラスを見せてくださいました。
「黒や赤のカクテルを入れると漆器のようにみえるかなと」
そのような山田社長の自由な発想は、コーディネーターとしても学ぶべき視点のように思われます。
日常にもっと漆を〜山田平安堂の取り組み
漆器店の4代目として、漆器=日常の暮らしをされている山田社長に、おすすめの日常使いできる漆器についても伺いました。
ハレの日の器であったり、扱いが難しそうと捉えられがちな漆器ですが、意外にもその扱いは難しくないとのこと。
お椀だけでない、日常使いに取り入れやすいアイテムや漆器のトレンドについても教えてくださいました。
「洋食や中華でも問題なく使えますし、一つ漆器があると食卓の印象もより豊かになるでは」というお話からも、敷居の高いイメージの漆器を身近に感じていただけるのではないかと思います。
宮内庁御用達と聞くと、おのずと伝統を重んじた厳しい社風を想像していまいがちですが、山田平安堂では、漆器のみならず、インテリア雑貨や文具、海外ブランドとのコラボ商品など、現代のライフスタイルにマッチングする商品を多岐に渡って展開されています。
そこには、「漆を気に入ってくれた人が、器を買って終わりの会社じゃつまらない」という山田社長の思いが背景にあるそうです。
一方で職人の育成にも力を注がれており、伝統工芸として今後も漆器業界を牽引されていく、山田平安堂の今後の展開にもぜひ注目していただきたいと思います。
〜番外編〜
対談後には、社長自らおすすめのカクテルを作ってくださり、一緒に乾杯させていただきました。
FSPJ ACADEMYプロデューサー
慈道 美奈子(MINAKO JIDO)